技術

SaaSとは?わかりやすく解説|身近な例・料金・自作との違い

公開 2026/7/21

クラウド上のソフトを月額で使うイメージ

「SaaS(サース)とは何か」を調べると、専門用語ばかりで結局よく分からない、という声をよく聞きます。この記事では、非エンジニアの方に向けて、SaaSを「クラウドで使う月額のソフト」というイメージから丁寧に解説します。パッケージ購入や自社開発との違い、身近な例、メリット・デメリット、料金の仕組み、そして「どこまでSaaSで済ませ、どこから個別開発すべきか」の切り分けまで、中小企業が判断に使える形でまとめました。

SaaSとは?わかりやすく言うと「クラウドで使う月額ソフト」

SaaSとは「Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)」の略で、一言でいえばインターネット経由で使う、月額制のソフトのことです。パソコンに買ってきたソフトを入れるのではなく、ブラウザやスマホアプリからログインして使います。

イメージしやすいのは「借りる」感覚です。ソフトを所有する(買って手元に置く)のではなく、電気やサブスク動画のように、使っている間だけ利用料を払う方式です。事業者が用意したソフトを、多くの利用者が同じ仕組みで共有して使います。

  • ソフトは事業者のサーバー(クラウド)上で動いている
  • 利用者はブラウザやアプリからログインして使う
  • 料金は月額または年額の利用料(買い切りではない)
  • 機能追加や不具合修正、セキュリティ更新は事業者が自動で行う

つまり、自分のパソコンに何かをインストールして管理する必要がなく、ネットにつながれば、どの端末からでも同じ環境が使えるのがSaaSの基本形です。パソコンでもタブレットでも、事務所でも自宅でも、ログインすれば続きから作業できます。

「サービスとして提供される」という言葉の意味は、ソフトそのものを商品として売るのではなく、ソフトを使える状態を継続して提供するという発想です。水を買うのではなく水道を契約するのに近く、蛇口をひねればいつでも使える代わりに、使い続ける限り基本料が発生します。この「所有から利用へ」という考え方の転換が、SaaSを理解するうえでの一番のポイントです。動画や音楽の定額配信(サブスク)が当たり前になったのと同じ流れが、業務ソフトの世界でも起きていると考えると腑に落ちるはずです。

パッケージ購入・自社開発とSaaSは何が違うのか(比較表)

ソフトを使う方法は、大きく「SaaS」「パッケージ購入」「自社開発(個別開発)」の3つに分かれます。まず全体像を表で押さえましょう。

比較項目SaaSパッケージ購入自社開発(個別開発)
持ち方借りる(月額で利用)買い切り(手元に所有)自社専用に作る
初期費用低い(無料〜数万円)中(ソフト代を一括)高い(開発費がかかる)
月々の費用利用料が継続原則なし(更新時のみ)保守費のみ
導入の速さ速い(申込んですぐ)中(インストール作業)遅い(設計・開発が必要)
カスタマイズほぼできない一部できる場合あり自由にできる
更新・保守事業者が自動対応自分で更新開発会社に依頼
自社の業務への適合汎用的な範囲汎用的な範囲自社にぴったり合う

パッケージ購入は、昔ながらの「ソフトを買ってインストールする」方式です。一度買えば手元に残りますが、新機能やセキュリティ対応は自分で買い直したり更新したりする必要があります。**自社開発(個別開発)**は、自社の業務に合わせてゼロから、あるいは土台をもとに専用のシステムを作る方式です。自由度が最も高い代わりに、開発の費用と時間がかかります。

SaaSは、この中間ではなく「別の考え方」です。所有せず、常に最新版を借りて使い続ける。だから初期費用が軽く、すぐ始められる一方、自社の細かいやり方に合わせて作り替えることは基本的にできません。**「万人向けに完成された道具を、みんなで安く分け合って使う」**のがSaaSだと考えると分かりやすいはずです。

身近なSaaSの例(実はもう毎日使っている)

「SaaSは難しそう」と感じる方も、実は日常的にSaaSを使っています。代表的なものを挙げます。

  • メール・オフィス系:ブラウザで使うメールやカレンダー、共同編集できる文書・表計算ツール
  • チャット・会議系:ビジネスチャット、オンライン会議ツール
  • 会計・給与系:クラウド会計ソフト、クラウド給与計算
  • 勤怠・人事系:クラウド勤怠管理、労務管理サービス
  • 販売・顧客系:ネットショップ作成サービス、顧客管理(CRM)ツール
  • 予約・店舗系:ネット予約システム、飲食店の予約・順番管理サービス

これらはすべて「ログインすれば使えて、月額を払い、勝手にバージョンが最新になる」という共通点があります。裏側のサーバーやセキュリティ更新を意識しなくても使えているのは、SaaS事業者がその部分を丸ごと引き受けているからです。

かつては、こうしたソフトは一つひとつパソコンにインストールし、バージョンが上がるたびに買い直したり、社内のサーバーを立てて管理したりする必要がありました。SaaSの登場で、その手間が事業者側にまとまり、利用者は「使うことだけ」に集中できるようになったわけです。スマートフォンのアプリを入れる感覚で新しい業務ツールを試せるようになったのも、この仕組みが広がった大きな効果です。

複数のSaaSを月額サブスクで使い分けるイメージ
会計・勤怠・チャットなど、身近な業務ツールの多くがSaaS。ログインするだけで、常に最新版を使える。

SaaSのメリット(なぜ多くの会社が使うのか)

SaaSが広く使われる理由は、中小企業にとって特にメリットが大きいからです。主な利点を整理します。

  • 初期費用が低い:ソフトを一括購入したり、サーバーを買ったりする必要がなく、無料〜数万円で始められることが多い。
  • すぐ使える:申し込んでログインすればその日から使える。導入までの待ち時間がほとんどない。
  • 自動で最新になる:機能追加・不具合修正・セキュリティ更新を事業者が自動で行うため、自分で管理する手間がない。
  • どこからでも使える:ネットにつながれば、事務所でも自宅でも外出先でも同じ環境で作業できる。
  • 人数の増減に対応しやすい:利用者が増えたら追加、減ったら解約と、必要な分だけに調整しやすい。
  • 管理の負担が軽い:サーバーの保守やバックアップを自社で抱えなくて済む。

特に「専任のシステム担当がいない」「まず小さく始めたい」という会社にとって、初期費用の軽さとスピードは大きな魅力です。合わなければやめられる、という気軽さも、最初の一歩を踏み出しやすくします。

導入効果の目安としては、これまで手作業やExcelでやっていた集計・共有を置き換えることで、担当者の作業時間が月あたり数時間から十数時間ほど減るケースが多く見られます。加えて、複数人が同じ最新データを見られるようになるため、転記ミスや「どれが最新版か分からない」といった混乱が減り、ミスによるやり直しの手間も抑えられます。サーバーの管理から解放される分、社内の限られた人手を本来の業務に振り向けられるのも見逃せない効果です。

SaaSのデメリット(契約前に知っておきたい弱点)

一方で、SaaSにも弱点があります。ここを知らずに導入すると、後で「思っていたのと違う」となりがちです。

  • カスタマイズが効きにくい:自社独自のやり方に合わせて作り替えることは基本的にできない。業務をソフト側に合わせる必要が出る。
  • 月額が積み上がる:一つひとつは安く見えても、人数分・複数サービス分が毎月かかる。長期で見ると相当な額になることもある。
  • データ移行の手間:将来ほかのサービスへ乗り換えるとき、データをきれいに移せるとは限らない。取り出し方を事前に確認しておきたい。
  • ベンダー依存になりやすい:事業者が値上げ・仕様変更・サービス終了をしても、利用者側は基本的に従うしかない。特定の事業者に業務を握られる状態は避けたい。
  • ネット接続が前提:オフラインでは使えない、あるいは機能が制限されることが多い。

このうち、カスタマイズの制限ベンダー依存は特に見落とされがちです。「業務をソフトに合わせられるか」「もし使えなくなったら困らないか」を導入前に確認しておくと、後悔が減ります。ベンダー依存のリスクについてはベンダーロックインとはでも詳しく触れています。

SaaSが向く業務・自社開発が向く業務の切り分け

「何でもSaaSにすればいい」わけでも、「全部自社開発すべき」でもありません。判断の軸はその業務が一般的か、それとも自社独自かです。

業務の性格向く方式理由
会計・勤怠・給与など、どの会社もほぼ同じSaaS既製品が完成度高く、安く速い
チャット・会議・文書共有など汎用作業SaaS標準ツールで十分、独自性が不要
自社の強み・差別化に直結する業務自社開発既製品では競争力が出ない
既製品では回らない独自フロー自社開発ソフトを業務に合わせられる
複数の業務やデータをつなぐ中核自社開発自社仕様の連携が必要

考え方の目安はシンプルです。「他社と同じでいい業務」はSaaS、「自社ならではのやり方が価値になる業務」は個別開発。たとえば経理や勤怠は世の中の標準に合わせても困りませんが、自社独自の受発注ルールや、現場のクセに合わせた管理は、既製品に押し込めるとかえって非効率になります。

一般業務にまでわざわざ自社開発をするのは費用の無駄ですし、逆に自社の核となる業務を無理やりSaaSに合わせると、強みが消えてしまいます。**「一般はSaaS、独自は個別開発」**という切り分けが、多くの中小企業にとって現実的な結論です。この考え方はスクラッチ・ノーコード・パッケージの違いとあわせて読むと理解が深まります。

SaaSと個別開発を組み合わせる考え方

実際の現場では、SaaSか個別開発かの二択ではなく、両方を組み合わせるのが賢いやり方です。

  • 会計・勤怠・チャットなど一般業務はSaaSで固める
  • 自社の中核となる独自業務だけ個別開発する
  • 個別開発したシステムと、使っているSaaSをデータ連携でつなぐ

たとえば「受発注は自社仕様で個別開発し、その売上データを会計SaaSに自動で流し込む」といった形です。こうすると、安く済むところはSaaSに任せつつ、自社の強みが出る部分だけにお金と手間をかけられます。全部を自社開発するより費用を抑えられ、全部をSaaSに寄せるより自社に合った仕組みになります。

  • 例:小売業のケース 在庫と発注は独自ルールが多いので個別開発し、会計・給与は会計SaaSに任せる。両者をつないで二重入力をなくした。
  • 例:サービス業のケース 予約はネット予約SaaSを使い、顧客の来店履歴とリピート施策の管理だけ自社仕様で作った。

「どこまでSaaSで足りて、どこから作るべきか」の線引きは、業務を見て初めて決まります。ここが曖昧なまま進めると、SaaSの使い過ぎで費用が膨らんだり、逆に作り込み過ぎて高くつく、という失敗が起きます。

SaaSの料金体系の考え方(ユーザー課金など)

SaaSの料金は、パッケージソフトの「買い切り」とは考え方が違います。代表的な課金方式を押さえておきましょう。

課金方式仕組み向くケース
ユーザー課金利用人数×月額使う人が明確な社内ツール
従量課金使った量(件数・容量)で変動利用量に波がある業務
プラン課金機能で段階(松竹梅)に分かれる必要な機能が絞れる場合

最も多いのがユーザー課金で、「1人あたり月◯円 × 使う人数」で決まります。ここで注意したいのは、人が増えれば費用も増えるという点です。導入時は数人でも、全社に広げると人数分の月額がかかり、想定より高くなることがあります。

料金を見積もるときのポイントは次の通りです。

  • 本当に使う人数を数える(全社員ではなく実利用者で)
  • 必要な機能がどのプランに含まれるかを確認する(上位プランでしか使えない機能に注意)
  • 複数SaaSの合計で毎月いくらになるかを一覧にする
  • 年払いの割引があるかを確認する

一つひとつは安くても、勤怠・会計・チャット・CRMと積み重なると、毎月の固定費として無視できない額になります。**「月額の総額を年間に直していくらか」**で捉えると、判断を誤りにくくなります。業務システム全体の費用感は業務システムの費用相場も参考にしてください。

中小企業のためのSaaS選び方チェックリスト

最後に、SaaSを選ぶときに確認したいポイントをチェックリストにまとめます。導入前にこれらを確認するだけで、失敗がぐっと減ります。

  • 自社の業務に合うか:ソフトのやり方に、自社の業務を無理なく合わせられるか。
  • 本当に使う人数と月額:実利用者の人数で計算し、年間総額を把握したか。
  • 必要な機能がプランに入るか:使いたい機能が、契約するプランに含まれているか。
  • データの取り出し:将来乗り換えるとき、自社のデータを取り出せるか(エクスポートできるか)。
  • セキュリティ・信頼性:運営元が信頼でき、障害やバックアップの体制が整っているか。
  • サポート:困ったときに日本語で相談できる窓口があるか。
  • やめやすさ:合わなかったときに解約しやすいか、最低契約期間はどうか。

そして、SaaSでは業務が回らない・自社の強みが出ないと感じたら、それは個別開発を検討するサインです。既製品に業務を合わせるコストが大きくなるなら、自社に合ったシステムを作った方が結果的に安く、使いやすくなることがあります。

なお当社では、こうした「一般業務はSaaS、独自業務は個別開発」という切り分けを前提に、必要な部分だけを一律100万円(スタンダード)/一律200万円(プロ)、追加費用なし・着手前に総額確定でお引き受けしています。作ったシステムの権利(ソースコード)はお客様にお渡しするため、特定の会社に縛られる心配もありません。「どこまでSaaSで足りて、どこから作るべきか分からない」という段階からご相談いただけます。

まとめ

SaaSとは「クラウドで使う月額のソフト」であり、初期費用が低くすぐ使えて、更新も自動という手軽さが最大の魅力です。会計・勤怠・チャットなど、どの会社も同じような一般業務はSaaSに任せるのが合理的です。一方で、カスタマイズが効きにくく、月額が積み上がり、ベンダー依存になりやすいという弱点もあります。だからこそ、自社の強みに直結する独自業務は個別開発し、一般業務はSaaSで固めて、両者をデータ連携でつなぐという組み合わせが、多くの中小企業にとって現実的な答えになります。「うちはどこまでSaaSで足りて、どこから作るべきか」を一緒に整理したい方は、無料相談からお気軽にお問い合わせください。

よくある質問

QSaaSとは何ですか?わかりやすく教えてください。
A

SaaSとは、インターネット経由で使うソフトを、月額(または年額)の利用料で借りて使う仕組みです。パソコンにソフトを買ってインストールするのではなく、ブラウザやアプリからログインして使います。会計ソフトやチャットツール、予約システムなど、身近な多くのサービスがSaaSです。

QSaaSとパッケージソフトの違いは何ですか?
A

パッケージソフトは一度購入すれば手元にずっと残る「買い切り」で、更新は自分で行います。SaaSは所有せず「使い続ける間だけ払う」方式で、更新や保守は事業者側が自動で行います。初期費用はSaaSの方が抑えられ、長く使うほど月額が積み上がる点が違いです。

QSaaSと自社開発(個別開発)はどちらが得ですか?
A

一般的な業務(会計・勤怠・チャットなど)はSaaSの方が安く速く始められます。一方、自社独自のやり方が競争力になる業務や、既製品では回らない業務は個別開発が向きます。多くの中小企業は「一般業務はSaaS、独自業務だけ個別開発」の組み合わせが現実的です。

QSaaSの料金はどう決まりますか?
A

最も多いのは「利用人数×月額」のユーザー課金です。ほかに、使った量に応じて払う従量課金、機能で段階が分かれるプラン課金があります。人数が増えると費用も増えるため、導入前に「何人が使うか」「どのプランで足りるか」を見積もっておくことが大切です。