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BtoB EC・Web受発注システムとは?BtoCとの違い・機能・費用を解説

公開 2026/8/2

取引先がパソコンからWebで発注するBtoB ECのイメージ

「取引先がWebで発注してくれれば、FAXを読んで基幹に打ち直す作業がなくなるのに」——BtoB EC(Web受発注システム)は、まさにこの願いを叶える仕組みです。この記事では、BtoB ECとは何か、BtoC ECとの違い、必要な機能、FAX・電話・メール受注の限界、既製サービスと個別開発の比較、取引先に使ってもらう工夫、費用の目安と一律100万円で作れる範囲まで、受注業務に追われる現場の目線で解説します。

BtoB EC(Web受発注システム)とは

BtoB ECとは、取引先(企業)がWebブラウザからログインして、FAXや電話の代わりに自分で発注できるようにした仕組みです。日本語では「Web受発注システム」「取引先ポータル」とも呼ばれ、注文の入口を紙・電話から画面に置き換えるのが役割です。

これまで受注担当者がやっていた「FAXを読む」「電話を聞き取る」「メールを転記する」といった作業のうち、注文の入力そのものを取引先側に肩代わりしてもらう——それがBtoB ECの本質です。取引先は24時間いつでも発注でき、自社は届いた注文をそのまま基幹システムに取り込めばよくなります。汎用的な受発注の考え方は受発注システムとは?で解説しているので、あわせてご覧ください。本記事は、そのうち**「取引先がWebで発注する」BtoBならではの要件**に絞って掘り下げます。

BtoC ECとの違い

「ECサイトを作る」と聞くと、Amazonや楽天のような一般消費者向けのショップを思い浮かべる方が多いはずです。しかしBtoB ECは、同じ「Webで注文する仕組み」でも、中身がかなり違います。

観点BtoC EC(消費者向け)BtoB EC(企業間取引)
対象不特定多数の消費者ログインした既存の取引先
価格全員同じ表示価格取引先ごとに単価・掛率が異なる
決済その場でカード・電子マネー決済掛け取引(後日まとめて請求)
注文の主体本人がその場で購入担当者が発注し、上長が承認する場合がある
与信前払いが基本でリスクは小さい後払いのため取引先ごとの与信管理が必要
商品の見せ方全商品を公開取引先ごとに見せるカタログを出し分け

とりわけ効いてくる違いが、掛け取引・取引先別単価・承認・与信の4点です。BtoBでは同じ商品でも取引先Aと取引先Bで値段が違い、その場で決済せず月末にまとめて請求します。注文する側にも「担当者が発注し、上長が承認する」といった社内フローがあり、後払いである以上、取引先ごとに与信枠を管理する必要も出てきます。つまりBtoB ECは、消費者向けの買い物カゴをそのまま流用しても成り立たず、取引先ごとの条件をどう正確にさばくかが設計の中心になります。

この4点をもう少し具体的に見ておきましょう。掛け取引では、注文のたびに支払うのではなく、締め日にその期間の受注をまとめて請求します。だからBtoB ECは「決済して終わり」ではなく、締め・請求まで見据えた設計が必要です。取引先別単価は、ログインした相手が誰かによって表示価格が変わる仕組みで、価格表を人が引かずに済むよう自動化するのが肝です。承認は、取引先の担当者が入れた注文を上長が確認してから確定させる段階のこと。金額の大きい発注ほど社内チェックを挟みたい取引先があるため、必要な相手にだけ承認を挟めると喜ばれます。与信は、取引先ごとに「いくらまで掛けで売ってよいか」の枠を持ち、超えそうなときに警告する仕組みです。これらはBtoC ECにはほとんど無い要素で、既製の消費者向けカートを流用しにくい最大の理由になります。

BtoB ECの掛け取引・取引先別単価・請求連携のイメージ
BtoB ECの肝は、その場決済ではなく「取引先ごとの単価・掛け取引・請求連携」を正しく処理すること。

FAX・電話・メール受注の限界

BtoB ECを検討する現場の多くは、いまFAX・電話・メールで注文を受けています。これらは長年の商習慣として根強い一方、件数が増えるほど次のような限界が見えてきます。

  • 転記の手間:届いた注文を人が読み、基幹システムに手入力する。件数に比例して時間が膨らむ。
  • 入力ミス・聞き間違い:手書きFAXの品番読み違い、電話の数量聞き間違いが誤出荷やクレームにつながる。
  • 受付時間の制約:電話は営業時間内しか受けられず、時間外の注文は翌日回しになる。
  • 属人化:「この取引先の注文のクセ」が特定担当者の頭の中にあり、その人が休むと受注が止まる。
  • 状況が見えない:どの注文がどこまで処理されたかが台帳に散らばり、進捗確認に手間がかかる。

これらの根っこは、注文の入口が「人が読んで打ち直す」構造になっている点です。BtoB ECはこの入口を取引先側の入力に置き換えることで、転記・ミス・時間の制約・属人化をまとめて解きにいきます。とくに卸売業のように取引先数が多く、取引先ごとの単価・締めルールが複雑な業種では効果が大きく、詳しくは卸売業の受発注システムで具体例を解説しています。

もっとも、全取引先が一斉にWebへ移るわけではありません。高齢の担当者や小口の取引先はFAX・電話が残ることも多く、そうした注文はAI-OCRなどで読み取って同じ受注台帳に取り込めるようにしておくと、「Web組」と「FAX組」が混在しても自社側は1画面で管理できます。

BtoB ECの主な機能

BtoB EC(Web受発注システム)に求められる機能は、消費者向けECより「取引先ごとの条件」と「基幹との連携」が厚くなります。中核となるのは次の機能群です。

  • 取引先ログイン・取引先別カタログ:ログインした取引先だけに、その相手に見せてよい商品を出し分ける。取扱のない商品や特定取引先限定商品を制御できる。
  • 取引先別単価・価格表示:取引先ごとの掛率・単価・特価をマスタで持ち、ログイン時にその相手向けの価格を自動表示する。
  • Web発注・カート:品番や数量を選んでカートに入れ、そのまま発注できる。定番品のセット登録にも対応。
  • 在庫・納期表示:発注画面で在庫や出荷予定日を見せ、欠品や納期の問い合わせを減らす。
  • 掛売・請求連携:その場決済ではなく、取引先ごとの締め日で受注を集計し、請求データへつなぐ。
  • 承認フロー:取引先社内で「担当者が発注→上長が承認」の段階を挟めるようにする。
  • リピート・お気に入り注文:前回注文のコピーやお気に入り登録で、定番品の再発注をワンクリックにする。
  • 受注の基幹取込:Webで入った注文を、そのまま自社の販売管理・基幹システムへ流し込み、二重入力をなくす。

とくに効果が大きいのは、取引先別カタログ・単価受注の基幹取込の組み合わせです。取引先が自分向けの価格を見ながら発注し、その注文がそのまま基幹に入れば、「FAXを読んで単価表を引いて入力する」作業そのものが消えます。取引先向けのマイページという観点では顧客ポータル・取引先マイページも参考になります。

既製BtoB ECサービス vs 個別開発

「わざわざ作らなくても、既製のBtoB ECサービスでいいのでは」という疑問はもっともです。それぞれに向き不向きがあります。

手段向いているケース注意点
既製BtoB ECサービス取引先別単価・掛け取引が標準的で、早く安く始めたい独特な単価・承認・締めルールに合わせづらい/取引先数・商品数で月額が積み上がる
個別開発(受託)単価や承認・締めが独特/既存の販売管理・在庫と深く連携したい初期費用がかかる/要件をまとめる必要がある

判断の分かれ目は、**「自社の取引ルールが標準的か、独特か」**です。取引先ごとの掛率・締めが素直で、扱う商品も既製サービスの枠に収まるなら、まず既製で試すのが早くて安全です。一方、「うちの単価の付け方は他社と違う」「基幹の在庫と受注をリアルタイムでつなぎたい」「取引先ポータルを自社の見せ方で作り込みたい」となると、既製の枠に業務を無理やり合わせることになり、かえって現場が使いにくくなります。

個別開発が要る典型は、既存の販売管理・会計と深く連携したいケース、複数手段(FAX・メール・Web)の注文を1つの台帳に統合したいケース、そして取引先ごとに承認フローや締めのルールを細かく変えたいケースです。ECの作り方別の費用感はECサイト構築の費用もあわせてご覧ください。

取引先に使ってもらう工夫

BtoB ECで最大の関門は、技術ではなく**「取引先に新しい発注方法を使ってもらえるか」**です。どれだけ良い仕組みを作っても、取引先がこれまで通りFAXを送ってくれば、自社の入力作業は減りません。定着させるには、次の配慮が効きます。

  • 主要取引先から段階導入:注文件数の多い上位数社から切り替え、効果を確かめてから広げる。
  • 当面は併用:FAX・電話を止めず、Web発注と並行させて相手のペースで移行してもらう。
  • 相手のメリットを見せる:自社向けの単価が最初から表示される、在庫・納期がその場で分かる、前回注文からワンクリックで再発注できる、24時間発注できる——といった「取引先が楽になる」点を伝える。
  • 入力の手間を減らす:定番品のセット登録・お気に入り・注文履歴からのコピーで、相手の入力負担を軽くする。

ポイントは、システムを「自社が楽をするため」ではなく「取引先も楽になるため」の道具として設計することです。取引先にとってメリットが薄いと感じられると、いくら頼んでも切り替えは進みません。逆に「こっちのほうが早くて確実」と実感してもらえれば、こちらから頼まなくても自然にWeb発注へ移っていきます。

導入効果の目安

BtoB ECを入れると、注文の入力を取引先側に肩代わりしてもらうことで、おおむね次のような改善が見込めます。あくまで一般的な目安で、取引先数・商品数・注文件数によって変わります。

指標導入前導入後の目安
1件あたりの受注入力時間3〜5分ほぼゼロ(取引先が入力・自動取込)
入力・聞き間違いミス月数件大幅減(取引先が直接入力)
受注できる時間帯営業時間内のみ24時間・年中無休
受注状況の把握台帳・メールに散在画面でリアルタイムに一覧

たとえば取引先50社から1日200件の注文をFAX中心で受け、1件の入力に平均4分かかっている現場なら、入力だけで1日13時間以上(担当者1.5〜2人分)を費やしている計算になります。ここをWeb発注に置き換えて自動取込できれば、その人手を営業や新規開拓へ回せます。効果は「注文件数 × 1件あたりの手作業時間」で自社の削減余地を見積もると具体的になります。

工数以外の効果も見逃せません。入力ミスが減れば誤出荷や請求トラブルを防げます。24時間受注できれば取引先の利便性が上がり、他社への乗り換え防止にもつながります。蓄積された受発注データは「どの取引先・商品がいつ動くか」の分析に使え、仕入れや在庫の判断材料になります。

費用相場と、一律100万円で作れる範囲

BtoB ECの費用は、「取引先ごとのルールの複雑さ」「扱う商品・取引先の数」「連携する外部システムの数」で大きく変わります。規模別の目安は次のとおりです(一般的な相場感で、要件により上下します)。

規模・範囲費用の目安
取引先ログイン・取引先別カタログ/単価・Web発注・受注一覧だけ100万円前後
在庫・納期表示、掛売の締め請求連携まで含む+30万〜80万円
販売管理・会計とのフル連携、多段承認、多拠点在庫200万〜400万円
大規模・多拠点・EDI併用・複雑な業務ルール400万円〜

「自作は高そう」というイメージがありますが、要件を絞れば一律100万円でも実用的なBtoB ECは作れます。100万円で狙いやすいのは次の範囲です。

  • 取引先ログインと取引先別カタログ(見せる商品の出し分け)
  • 取引先別単価の自動表示とWeb発注・カート
  • 受注一覧・進捗のリアルタイム管理
  • 取引先マスタ(掛率・締め日・届け先)と商品マスタ
  • 掛売の締め集計と請求・納品書の帳票出力(会計ソフトへは手動連携)

一方、在庫のリアルタイム連携、複数基幹とのフル連携、複雑な多段承認まで全部盛りにすると、100万円には収まりにくくなります。予算内に収めるコツは、一番時間を奪っている「注文の受付と入力」に絞って作り、連携や自動化は効果を確かめてから足すことです。

選び方チェックリストと進め方

導入前に、次の点を1枚のメモに整理しておくと、既製でも個別開発でも見積り相談がスムーズになります。

  • 取引先は何社で、注文の何割がFAX・電話・メールか、1日何件か
  • 取引先ごとの掛率・単価・締め日はどれだけ違うか
  • 取引先社内に承認フローはあるか、与信管理は必要か
  • 一番時間がかかっている・ミスが多い工程はどこか(受付/入力/単価計算/締め)
  • 連携したい既存システム(販売管理・在庫・会計)はあるか
  • 主要取引先にWeb発注へ切り替えてもらえそうか

進め方は、次の4ステップが失敗しにくい順番です。

  1. 現状把握:注文の受け方・件数・取引先ごとのルール・かかっている時間を洗い出す
  2. 要件の絞り込み:一番の詰まりどころに対象を絞り、「まず作る範囲」と「あとで足す範囲」を分ける
  3. 小さく作って試す:取引先ログイン・取引先別単価・Web発注など核となる機能から導入し、主要取引先で使ってみる
  4. 効果を見て広げる:使い勝手を確かめてから在庫・納期表示・締め請求・基幹連携を足していく

最初から全機能を盛り込むと、費用も期間も膨らみ、取引先も現場も使いこなせないまま止まりがちです。「一番人手を奪っている一工程」に狙いを定めて小さく作るのが、費用も効果も読みやすくする鍵です。

例:取引先80社から毎日FAXとメールで注文を受け、取引先ごとに単価が違う資材卸のケース。 受注担当が2人がかりで午前中を入力に費やし、品番の読み違いによる誤出荷も月に数件起きていた——という現場なら、まず取引先ログイン・取引先別カタログ・Web発注で「取引先に入力してもらう」ところから始め、次の段階で締め請求と在庫・納期表示を足す、という順番が現実的です。全取引先を一度に切り替えようとせず、まず注文の多い主要取引先だけをWebに移し、残りはFAXをAI-OCRで同じ台帳に取り込む——このように「Web組」と「FAX組」を1本の受注台帳に束ねておくと、移行の途中でも自社側の管理は1画面で完結します。

まとめ

BtoB EC(Web受発注システム)とは、取引先がWebブラウザからログインして自分で発注できるようにし、注文の入口をFAX・電話から画面へ置き換える仕組みです。取引先別単価・掛け取引・承認・与信といったBtoC ECとの違いを踏まえ、取引先別カタログ・Web発注・在庫納期表示・掛売請求連携・承認フロー・基幹取込といった機能で、転記の手間・入力ミス・受付時間の制約・属人化を解消します。大切なのは、一番時間を奪っている受付・入力から小さく始めること。要件を絞れば一律100万円でも実用的な一本が作れます。追加費用なし・着手前に総額確定・ソースコードの権利もお渡しします。無料相談で「うちの受発注、Webで取引先に発注してもらうといくら?」を整理しましょう。

よくある質問

QBtoB ECとは何ですか?BtoC ECとどう違いますか?
A

BtoB ECは、取引先(企業)がWebブラウザからログインしてFAXや電話の代わりに発注する仕組みです。不特定多数に売るBtoC ECと違い、ログインした取引先ごとに単価やカタログを出し分け、その場での決済ではなく掛け取引(後日まとめて請求)、社内の承認フロー、与信管理といった企業間取引ならではの要素が中心になります。

QBtoB ECを入れると何が良くなりますか?
A

取引先が自分で注文を入力するため、FAX・電話・メールを読んで基幹に手入力する作業がほぼなくなります。入力ミスや聞き間違いが減り、営業時間外でも24時間受注でき、受注状況もリアルタイムで把握できます。受注担当者の負担と属人化を同時に減らせるのが最大のメリットです。

Q既製のBtoB ECサービスと個別開発、どちらがいいですか?
A

取引先別単価や掛け取引が標準的で、早く安く始めたいなら既製サービスが向きます。一方、単価や承認・締めのルールが独特、既存の販売管理や在庫と深く連携したい、取引先ポータルを自社の見せ方で作り込みたい場合は個別開発が向きます。まず既製で試し、合わなければ個別開発という進め方も有効です。

QBtoB ECは一律100万円で作れますか?
A

取引先ログイン・取引先別カタログと単価・Web発注・受注一覧・掛売の請求連携といった中核機能に絞れば、一律100万円のスタンダードプランで実用的な一本が作れます。在庫のリアルタイム連携や複数基幹とのフル連携、複雑な多段承認まで含む場合は、範囲を段階に分けて進めるのが現実的です。